
Webアプリケーション脆弱性チェック機能をリリース
高性能なAIモデルの普及は開発者だけでなく攻撃者の手も強化します。KATATANはWebアプリケーションの健全性を手軽に確認できる脆弱性チェック機能をリリースしました。無料プランのワークスペースからすぐにお試しいただけます。
AIの民主化が生む、もう一つの現実
Anthropic MythosやFable 5をはじめ、高性能なAIモデルが次々と登場しています。かつては一部の専門家だけが扱えた高度な課題解決を、今では誰もが手軽に活用できる時代になりました。開発、リサーチ、業務効率化——AIの恩恵はあらゆる領域に及んでいます。
しかし、この変化には裏側もあります。高性能なAIは開発者の生産性を押し上げる一方で、攻撃者にとっても強力な武器になり得ます。脆弱性の探索や攻撃コードの生成がAIによって効率化されることで、サイバー攻撃を仕掛けるハードルが下がりつつあるという指摘は、もはや珍しいものではありません。
ダークネット観測が映す、ここ10年の変化
このような懸念が単なる感覚論ではないことを示すデータがあります。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、NICTER※1 プロジェクトを通じて「ダークネット※2」の観測を10年以上にわたり継続しており、その最新の結果を「NICTER観測レポート2025」としてまとめています。
同レポートによれば、1 IPアドレスあたりの年間総観測パケット数は次のように推移しています。
| 年 | 1 IPアドレスあたりの年間総観測パケット数 |
|---|---|
| 2016 | 約 52.8万 |
| 2018 | 約 80.7万 |
| 2020 | 約 185.0万 |
| 2022 | 約 183.3万 |
| 2024 | 約 242.8万 |
| 2025 | 約 250.5万(観測開始以降で最多) |
10年足らずでおよそ4.7倍という増加です。
ここで注意したいのは、このデータが実際に検出された「攻撃件数」ではないという点です。ダークネットは、インターネット上で到達可能かつ未使用のIPアドレス空間であり、そこに届くパケットの多くは無差別な調査・探索(スキャン)に起因するものです。実際、NICTERレポートでも観測パケットの約55.0%は調査目的と推測されるスキャンパケットであると分析されています。
つまりこの数値は、「特定の攻撃が何件成功したか」を示す指標ではなく、「インターネット上でどれだけ活発に探索・攻撃関連活動が行われているか」を示す相関的な指標です。AIの普及と観測パケット数の増加を単純な因果関係として結びつけることはできません。ですが、双方が同じ期間に進行している事実——高性能AIの民主化と、インターネット上の探索活動の活発化——は、開発者として無視できないシグナルだと言えるでしょう。
攻撃の高度化は、ガバナンスの高度化を要求する
攻撃手段が高度化・自動化していく一方で、企業や開発チームに求められるセキュリティガバナンスの水準も、必然的に引き上げられています。取引先や顧客からのセキュリティ要件、コンプライアンス対応、インシデント発生時の説明責任——これらはもはや大企業だけの課題ではなく、あらゆる規模の開発プロジェクトに関わる話になっています。
あなたの開発プロジェクトはサイバーセキュリティ対策をとっているでしょうか? この問いに即答できるチームは、実はそれほど多くないのではないでしょうか。
KATATANの脆弱性チェック機能
そこでKATATANは、プロダクトの健全性を非常にカジュアルにチェックできる脆弱性チェック機能をリリースしました。

プロジェクトに登録したURLに対して、SSL/TLS・Cookie・CORS・セキュリティヘッダーなど14種類のセキュリティチェックを自動で実行します。検出結果は深刻度別(Critical / High / Medium / Low / Info)に整理され、それぞれの原因と推奨対策を日本語・英語の両方で確認できます。レポートはMarkdownやCSVでダウンロードできるほか、AIエージェントからもMCPツール経由で参照可能です。
現在サイバーセキュリティ対策がとれていないとしても、まずは気軽にスキャンしてみることをおすすめします。多くのダイエット手法と同じで、何かを変える前に、まずは体重計に乗ることから始めるべきでしょう。脆弱性チェック機能は、無料版のワークスペースでもご利用いただけます。ぜひ一度体験してみてください。
今後の展望
現時点でKATATANが提供しているチェック項目は、決して網羅的なものではありません。あくまでシンプルな第一歩です。今後もさまざまなサイバー攻撃の手法を継続的に研究し、その知見をチェック項目として随時追加していく予定です。
おわりに
皆様のプロダクトが脅威に晒されないように、KATATANが少しでもお手伝いできれば幸いです。脆弱性チェック機能についてのご質問・ご感想があれば、ぜひお気軽にお寄せください。
連絡先: contact@katatan.com
※1 NICTER:Network Incident analysis Center for Tactical Emergency Response の略。日本の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に設置されたサイバーセキュリティ研究組織である。
※2 ダークネット:インターネット上で到達可能かつ未使用のIPアドレス空間のこと。未使用のIPアドレスに対して通信(パケット)が送信されることは、通常のインターネット利用の範囲においては稀ですが、実際にダークネットを観測してみると相当数のパケットが到着し、それらの多くはサイバー攻撃に起因したパケットです。
出典:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)「NICTER観測レポート2025」https://www.nicter.jp/